みことの日記

2015年8月長男、2017年9月次男 育児の記録

妊娠中

15 出産(2)

ようやく空が白んできた。天気の悪い朝だった。灰色の室内からカーテンを開けて灰色の街を覗き見る。高層階の病室からは、外の景色がよく見えた。ぼんやり鈍く煙っていた。 朝から、助産師とともに医師がやってきた。「紺さんおはようございます。少し陣痛が…

14 出産(1)

なんの変哲もない土曜日だった。天気はさほどよくなく、だんなとその日いちにちなにをしてすごそうか、朝ごはんを食べながら話し合っていた。「午前中はお散歩にいこう。そんで昼に食べるパン買ってこよう」「いいね」「夜は焼き肉食べたい」「いいね!」 予…

13 運動

妊娠中の運動ってどのくらいしたらいいの? っていうのは、結局産むまで(産んでからも?)よくわからなかったのだけど、一つ言えるのは、「陣痛ちょー体力使うよ! 産後もめっちゃ体力いるよ!」ってことだ。事前に鍛えておかないと大変なことになる。 幸い…

12 妊娠後期

めでたく産休にも入り、みるみるお腹は大きくなり、そして日増しに暑くなっていた。夏だった。「休みに入ったらやろう!」と思っていたリストがけっこうあって、7月はそれをこなすのに追われた。 まずは、部屋の掃除と片付け。 そもそも、つわりの時期から…

11 最終出勤日

私のはたらく職場では、出産予定日の八週間前から産前休暇がとれる。有給とか夏休みとかもあるにはあったけれど、それらは使わないことにして、7月の頭まで出勤した。 長いこと休みを取るなんて初めてで、おまけに自分がいつ戻ってくるかも分からない。 ど…

10 手作りと買い物

学生時代から縫い物が好きだった。人並み以上には手先が器用だったので、家庭科の時間にはよく友人の分まで課題をこなしていた。お気に入りの作品は「エプロンを作ろう」とかいうときに作った、白くて、フリフリで、「どこのメイドが着るのこれ……?」って感…

9 恐怖の身体変化

からだの中にぎゅうぎゅうに膨れた2リットルペットボトルより大きなものを宿そうというのだから、妊婦の身体というのは、十ヶ月間で驚くほど変化する。 私ももちろん、例外にあらず。ただただお腹が大きくなるというだけでなく、それに付随して、いろんな変…

8 妊娠中期

「ある日君は夏の終わりの台風のように過ぎ去って、そこには気持ちのよい一陣の風が吹き抜けただけだった……」 ……ではないけれど、つわりというのはそんな風に終わるのだと思っていた。というか、終わってくれ! と願っていた。 実際、私の場合はもう少し「じ…

7 服装

真冬から真夏にかけての妊婦だったので、いろんな服装をした。もともとけっこうゆったりめの服を多く持っていたので、買い足すこともあまりなかったのだが、ご紹介。 お腹の出てくる前から、つわりもあいまって、タイツの胴回りがきついと気持ち悪い、という…

6 性別と名前

はた目にもお腹の膨らみがわかってくるようになってから、妊娠について会話をすると、きまって聞かれる質問があった。「もうどっちだかわかってるの?」 そう、性別の話である。 個人的には「男と女なんてそんな明確に区分されうるものであるのか?」なんて…

5 妊娠初期

黒ゴマちゃんが心臓をぴくぴく震わせはじめてからしばらく。妊婦検診は四週に一度のペースだった。これを待つのが非常に、ひじょうに長くてしんどかった。 だってお腹はぺったんこ。もちろん胎動なんて感じられない。かろうじて「つわり」という兆候はあるけ…

4 必需品

・マスク 妊娠したのが冬だったのもあるけれど、べつに風邪予防というわけでもなく、妊娠四ヶ月くらいまでマスクが手放せなかった。つわりでありとあらゆるニオイに拒否反応が出ていたのである。 まず、排気ガス。鼻腔をくすぐるあの香りはもろに胃袋を刺激…

3 つわり

生まれて初めて駅の救護室を利用した。(ところでいったい妊娠中に何回の「生まれて初めて」を経験することになるのだろう。これから新しい命を生み出そうという、いい年した大人なのに!)心拍を確認した翌日の通勤途中でのことだ。体調に多少の不安を抱え…

2 黒ゴマちゃん

妊娠の発覚した私は、がぜん忙しくなった。THE BACK HORNのために年休を使ってしまったので、休みは取りづらい。かといって、のんびりしていては病院が年末の休暇に入ってしまう。なんとか近所の医院を検索し、土曜日でも予約なしで診療してくれる産婦人科を…

1 はじめまして

平成26年12月25日、妊娠が発覚した。なぜ正確に日付を覚えているかといえば、その日がクリスマスだったということもあるし、前日に届いた一通のメールが原因でもある。 メールの送り主は前部署の先輩で、四つ年上の男性だった。やたら理屈っぽくて、一尋ねる…